バグバウンティ(脆弱性報奨金制度)とは、自社の製品やサービスにある脆弱性を発見した外部の専門家に対し、企業が報奨金を支払う仕組みです。
サイバー攻撃の手法が日々高度化・複雑化する中、社内だけであらゆるリスクを排除することは難しくなっています。バグバウンティを活用すれば、世界中のホワイトハッカーの視点を取り入れ、攻撃を受ける前にシステムの弱点を効果的にふさぐことが可能です。
本記事では、バグバウンティについて以下の内容を解説します。
- バグバウンティの概要と基本的な仕組み
- 国内外で注目を集めている背景
- 導入するメリットとデメリット・注意点
- 脆弱性診断やペネトレーションテストとの相乗効果
本記事を読むことで、バグバウンティの全体像や自社に導入する際の効果・注意点が分かります。事前に自社の脆弱性を効率よく発見する診断ツールも紹介しますので、セキュリティ対策の強化を検討している企業の方はぜひご一読ください。

バグバウンティ(脆弱性報奨金制度)とは
バグバウンティとは、「Bug(バグ)」と「Bounty(報奨金)」を組み合わせた言葉で、製品やサービスに潜む脆弱性を発見した外部の専門家に対し、企業が報奨金を支払う制度です。社外のホワイトハッカーやセキュリティ専門家の力を借りることで、悪意のある第三者から攻撃を受ける前にシステムの弱点をふさぐことを目的としています。
自社の担当者だけでは気づけない潜在的な問題を、第三者の多様な視点で洗い出せる点が大きな特徴です。さまざまな知見を活用してシステムの盲点を解消できるため、安全性を大きく高められます。
バグバウンティの基本的な仕組み
バグバウンティは、以下の流れで成立します。
- 企業が調査ルールと報酬額を定める
調査の対象範囲やルール、報告の手順、報奨金の基準を公開します。 - 外部の専門家から報告を受け取る
参加者は条件に従って調査を行い、発見した脆弱性を企業へ報告します。 - 報奨金を支払う
企業側は報告内容を確認し、実際に問題があると判断できたものに対して報奨金を支払います。
なお、発見された脆弱性の深刻度が高いほど、支払われる報奨金は高額になる傾向があります。
日本国内外の企業で注目を集めている背景
バグバウンティは、サイバー攻撃が複雑化する中で、システムの安全を守る効果的な手法として国内外で注目を集めるようになりました。
バグバウンティの考え方自体は1990年代から存在していましたが、実際に広く普及し始めたのは2010年代のアメリカからです。海外の大手IT企業が導入を開始したことをきっかけに話題となり、他社も追随しました。
また、2012年ごろからは専門プラットフォームが登場し、導入にかかるハードルが一気に下がりました。現在では海外だけに留まらず、日本国内でも大手企業を中心に活用する動きが広がっています。
バグバウンティを導入する3つのメリット
バグバウンティを導入すると、従来のセキュリティ対策だけでは得られない多くの効果を期待できます。主なメリットは次の3点です。
- 自社のセキュリティを強化できる
- 世界中の優秀な人材(ホワイトハッカー)の視点を取り入れられる
- セキュリティに積極的な企業として信頼が高まる
自社のセキュリティを強化できる
バグバウンティを導入すると、外部の専門家から継続的に脆弱性の報告を受けられる機会が生まれるため、自社の安全性向上につながります。脆弱性診断やペネトレーションテストもシステムの安全性を確認できますが、こちらはあくまで診断した時点での安全性を確認する手段です。バグバウンティなら、診断と診断の間に生じた問題にも気づける可能性が高まります。
また、バグバウンティでは、有効な脆弱性の報告に応じて報奨金を支払う成果報酬型を採用しているため、継続的に外部の専門家から報告を受ける手段として活用できます。こうした継続的な対策を通じて、悪意のあるサイバー攻撃による深刻な被害を未然に防止することが可能です。
世界中の優秀な人材(ホワイトハッカー)の視点を取り入れられる
自社で高度な専門スキルを持つ人材を雇わなくても、世界中の多様な専門家の知識を活用できる点がバグバウンティの大きな強みです。異なる得意分野や視点を持ったホワイトハッカーが参加するため、自社のセキュリティ担当者だけでは見落としがちな未知の弱点も発見できるようになります。
さらに報告書をチェックすることで、自社の開発チームが新しい攻撃手法や対策技術を学ぶきっかけが生まれます。外部の知識を社内に取り込むプロセスを通じて、組織全体のセキュリティに関するスキル向上にも大きく寄与するでしょう。
セキュリティに積極的な企業として信頼が高まる
バグバウンティを実施していることを公表すれば、顧客や取引先から高い信頼を得られるようになります。セキュリティ対策に真剣に取り組んでいる点を示せるためです。
外部への情報公開を通じてセキュリティ対策への積極的な姿勢を示すことで、ユーザーの安心感につながる可能性があります。その結果、他社との差別化が図れるだけでなく、長期的には企業全体の価値向上へとつながるでしょう。
バグバウンティの3つのデメリット・注意点
バグバウンティには多くのメリットがある一方で、導入の際には課題もあります。導入後の運用トラブルや予期せぬ費用の膨張を防ぐためにも、以下のようなデメリットや注意点を把握しておきましょう。
- 運営コストがかかる
- 報告内容を正確に確認・対応する体制が必要になる
- 脆弱性が多いと報奨金が膨れ上がるリスクがある
運営コストがかかる
バグバウンティを運用するにあたり、ルール作りや維持管理が必要となります。参加者の募集、診断してよい範囲の設定、法律に違反しないための禁止事項の整理、報告を受け付ける窓口の設置、報奨金の支払い処理など、決めるべきことは多岐にわたります。
整備しないまま運用を進めると、トラブルを招きかねません。自社だけで行うのが厳しい場合は、プラットフォームの利用や運用代行の活用を検討するとよいでしょう。
報告内容を正確に確認・対応する体制が必要になる
バグバウンティを機能させるには、外部から寄せられた報告が本当に正しいかを確認し、迅速に修正作業へ移せる社内体制が欠かせません。報告を受け取るだけではセキュリティは向上しないため、内容を適切に処理できる担当者を確保する必要があります。
もし報告された問題の再現テストや緊急度の判定が遅れれば、放置された隙を突かれて攻撃を受ける危険性が残ります。専門知識を持った人材を社内に配置し、迅速な修正作業までスムーズに連携できる運用フローをあらかじめ築いておきましょう。
脆弱性が多いと報奨金が膨れ上がるリスクがある
基本的なセキュリティ対策が不十分なままバグバウンティを開始すると、誰でもすぐに見つけられるような簡単な脆弱性が大量に報告されてしまいます。その結果、想定を大きく上回る報奨金を支払うことになりかねません。
だからといって、報奨金を低く抑えすぎると優秀なホワイトハッカーが集まらなくなるというジレンマも生じます。バグバウンティを導入する際は、まず社内で対処できる基本的な対策を済ませ、そのうえで報奨金の水準を検討しましょう。
バグバウンティと脆弱性診断・ペネトレーションテストの相乗効果
バグバウンティと従来のセキュリティテストを組み合わせることで、システムの安全性を高める相乗効果が生まれます。
脆弱性診断やペネトレーションテストは、それぞれ異なるアプローチでシステムの脆弱性やリスクを調査する手法です。ここにバグバウンティを併用すれば、定期診断の合間に生じた脆弱性や、想定していなかった攻撃経路が発見される機会を増やせます。
まず診断で基本的な脆弱性をつぶし、そのうえでバグバウンティを行う流れが効率的です。見つけやすい脆弱性を先に解消しておけば、報奨金の膨張も抑えられます。両者を組み合わせ、セキュリティをより強固なものにしましょう。
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バグバウンティを始めるなら、事前に基本的な脆弱性を自社でつぶしておきましょう。誰でも見つけられる脆弱性を残したまま公開すれば、報奨金と対応工数の両方が想定以上に膨らんでしまいます。
とはいえ、外部ベンダーに毎回診断を依頼していては、費用も時間も足りなくなるでしょう。機能追加やアップデートのたびに確認したい場合は、社内で診断を回せる仕組みを整えるのがおすすめです。
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まとめ|バグバウンティでセキュリティを強化しよう
バグバウンティを導入すれば、継続的に脆弱性がないかチェックを受けられるうえ、セキュリティに真剣な企業として信頼を高められます。一方で、ルール作りや報告への対応には手間と費用がかかり、基本的な対策が不十分なまま始めると報奨金が膨れ上がるおそれもあります。
そのため、まずは脆弱性診断で基本的な弱点をつぶし、そのうえでバグバウンティを行う順序が現実的です。脆弱性診断とバグバウンティを組み合わせることで、それぞれの弱点を補い合う効果も期待できるでしょう。
脆弱性診断の内製化を検討している場合は、AIを活用して高精度な脆弱性診断を社内で自動化できるAeyeScanがおすすめです。自社のセキュリティ体制をより強化したい企業の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
著者:榊原敦子(シニアカスタマーマーケティングマネージャー)



