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脆弱性診断の仕組みと選定|手動診断とツール診断の使い分け

脆弱性診断とは、Webアプリケーションやネットワーク・OS・ミドルウェアに、サイバー攻撃者がつけ込める弱点がないか検証を行う診断のことです。情報漏えいなどの重大なリスクを防ぎ、サービスを安全に提供するには、この脆弱性診断を定期的に実施する必要があります。

特に近年、開発現場で生成AIの活用が進む一方で、生成AIが出力したコードには予期せぬ脆弱性が潜む可能性も指摘されています。このように、新たな技術が新たなリスクを生む現代において、脆弱性診断の重要性は従来以上に高まっています。

本記事では、以下の内容を詳しく解説します。

  • 脆弱性診断とは
  • 脆弱性診断の必要性
  • 診断対象について
  • ツール診断と手動診断の違い
  • 脆弱性診断を選ぶときのポイント

本記事を読むことで、脆弱性診断の重要性はもちろん、手間をかけずに診断できる具体的な方法が分かります。

サイバー攻撃の手法が多様化し、セキュリティ対策の重要性がますます高まる今、セキュリティ強化をお考えの企業のご担当者様は、ぜひご一読ください。

  1. 脆弱性診断(セキュリティ診断)とは
  2. 脆弱性診断とペネトレーションテストの違い
  3. 脆弱性診断とASMの違い
  4. 脆弱性は完全に無くなることはない
    1. 脆弱性診断を行うべき適切なタイミングと頻度
  5. 脆弱性診断が必要な4つの理由
    1. 1. サイバー攻撃を未然に防ぐため
    2. 2. 安全な自社サービスを提供するため
      1. ECサイトのセキュリティ対策の甘さが大きな問題に
    3. 3. 効率的にセキュリティ対策を実施するため
    4. 4. 開発手法の多様化に対応するため
  6. 脆弱性診のやり方|手動診断、ツール診断
    1. 手動診断のメリット・デメリット
    2. ツール診断のメリット・デメリット
  7. 脆弱性診断の費用
  8. 脆弱性診断の種類
    1. ネットワーク診断
    2. アプリケーション診断
      1. 代表的なWebアプリケーションの脆弱性
        1. クロスサイトスクリプティング
        2. SQLインジェクション
        3. Javaの脆弱性
  9. 脆弱性診断を選ぶときにおさえたい4つのポイント
    1. 1. 診断水準は高いか
    2. 2. 診断結果を元に対策ができるか
    3. 3. 信頼できる提供会社か
    4. 4. 診断の提供形態は柔軟か
  10. 安全性を確保し続けるための「脆弱性管理」
  11. 脆弱性診断を開発プロセスに組み込むDevSecOpsの考え方
  12. 【導入事例】開発の中にセキュリティを浸透させ、四半期ごとの定期診断を実現
  13. まとめ|自社サービスに最適な脆弱性診断を導入しセキュリティを強化しよう

脆弱性診断(セキュリティ診断)とは

脆弱性診断とは、脆弱性を突いた攻撃を受けたとき、被害につながる可能性がないか検証することです。診断結果をもとにセキュリティ対策をすれば、サイバー攻撃による不正アクセスや情報漏えいを未然に防ぐことが可能です。

脆弱性診断を実施せずにいると、セキュリティの欠陥を突いたサイバー攻撃を受けるリスクが非常に高まります。

サイバー攻撃によって企業の機密情報や個人情報が漏えいすれば、企業イメージや信頼が低下し、大きな損害を被るでしょう。攻撃の手口は多様化・巧妙化しているため、脆弱性診断を行い、対策を施すことはとても重要です。

脆弱性診断とペネトレーションテストの違い

脆弱性診断と似たサービスにペネトレーションテストがあります。ペネトレーションテストとは、サイバー攻撃を疑似的に実行し、Webシステムなどの攻撃耐性をチェックすることです。

脆弱性診断は「Webアプリケーションやネットワークなどにおける脆弱性の検出が目的」であることに対して、ペネトレーションテストは「攻撃者に悪用される可能性のある脆弱性を、攻撃者の視点で検証することが目的」という違いがあります。

例えば、自社の脅威を「機密情報の窃取と外部への持ち出し」と定めた場合、ペンテスター(攻撃者役)にとってそれは「目的」となります。ペンテスターはその目的を達成するための攻撃シナリオを作成し、そのシナリオに基づいて疑似的な攻撃を行い、攻撃者の視点で検証を行う点がペネトレーションテストの特徴です。

脆弱性診断 ペネトレーションテスト
攻撃の入口になる可能性のある箇所(脆弱性)を検査 網羅性を重視せず、機密情報へのアクセスや権限奪取などが可能か攻撃者の視点で検証
ツールまたは技術者が手動で診断 技術者が手動で診断
Webアプリケーションやネットワークなどを対象とする脆弱性の検出が目的 攻撃者に悪用される可能性があるセキュリティの脆弱性を攻撃者の視点で検証することが目的

2つの診断方法は役割が異なり、セキュリティ強化のためにはどちらも大切な診断です。

たとえば脆弱性診断においてリスクが低いと評価された問題が、ペネトレーションテストでは攻撃の起点として使われることが考えられます。
また、ペネトレーションテストでは攻撃シナリオに含まれておらず見逃した脆弱性が、脆弱性診断によって検出できることもあります。

脆弱性診断とペネトレーションテストは、診断の目的に応じて選ぶとよいでしょう。

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脆弱性診断とASMの違い

脆弱性管理ができるセキュリティ対策には、ASM(Attack Surface Management)もあります。ASMとは、インターネットからアクセス可能なIT資産を見つけ出し、そこに潜む脆弱性を継続的に検出・評価するプロセスのことです。

脆弱性診断とASMは似ていますが、調査するIT資産の範囲、情報の確度、IT資産への影響に違いがあります。

違い 脆弱性診断 ASM
IT資産の範囲 企業が把握しているIT資産 未把握のものを含む、インターネットからアクセス可能なIT資産
情報の確度 IT資産に模擬攻撃を仕掛け、その応答を評価して脆弱性を特定する IT資産に含まれる可能性のある脆弱性の示唆にとどまる
IT資産への影響 調査時の模擬攻撃が、IT資産の動作に影響を与える可能性がある 調査する際、IT資産への影響はほとんどない

ASMの大きなメリットは、企業が把握していないIT資産も調査対象になる点です。脆弱性診断では対応しきれない部分をASMで補完すれば、より包括的なセキュリティ対策が可能になります。

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脆弱性は完全に無くなることはない

脆弱性とは、Webシステム・アプリケーション/OS/ネットワークなどに潜むセキュリティ上の欠陥のことです。悪意ある第三者は企業が持つ機密情報などを盗むために、脆弱性を突いた攻撃を仕掛けてきます。

脆弱性が生じる原因は、設計ミスや検証不足、Webシステム・アプリケーション/ネットワークなどの連携の複雑さなどです。大事なことは、どれほど気を付けていても脆弱性は発生してしまうものであるため、リスクにいち早く気付くためにも定期的に脆弱性診断を行う必要があります。

脆弱性診断を行うべき適切なタイミングと頻度

定期的な診断が必要といっても、具体的に「いつ」「どれくらいの頻度で」実施すべきか迷うケースは少なくありません。一般的には年1〜2回の定期的な実施が目安とされることが多いですが、システムのアップデート頻度や扱う情報の重要度によって、最適なタイミングは異なります。

特に、大規模な機能改修やOSの更新、ネットワーク構成の変更を行った直後は、予期せぬ脆弱性が生まれるリスクが高まります。「前回の診断からまだ日が浅いから」と形式的なスケジュールに固執せず、システムの変更点や、新たな攻撃手法・脆弱性情報の公開に合わせて、柔軟に診断を組み込みましょう。

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脆弱性診断が必要な4つの理由

脆弱性が放置されていると大きな事故につながる可能性が高まります。安全のためには定期的に脆弱性診断を実施することが重要です。

他にも、「顧客からの信頼獲得」や「コストの削減」などが挙げられます。脆弱性診断が必要な理由を理解して、より安全な自社サービスの提供を目指しましょう。

1. サイバー攻撃を未然に防ぐため

脆弱性診断で問題を早期発見できれば、攻撃を受ける前に対策を講じることが可能です。

脆弱性を放置してしまうと、攻撃を受けるリスクが高まります。
リスクの大きさを算定する方法にはいくつかありますが、分かりやすいものとして「脅威」と「脆弱性の対策状況」から被害が発生する可能性を計算する方法があります。

以下の例をもとに、脅威の発生回数と脆弱性の対策状況をかけ合わせることで、いつ発生してもおかしくない状況なのか、それとも通常起こりえないと判断できるレベルのリスクなのかを確認します。

意図的脅威  盗聴、ウイルス感染、不正アクセス、改ざんなど、悪意ある攻撃者が原因の脅威
偶発的脅威  USBの紛失、PCの盗難、設定ミスなど、ヒューマンエラーが原因の脅威
環境的脅威  地震、落雷、火災など、災害が原因の脅威

意図的脅威として挙げられる不正アクセス、改ざんなどは、インターネット経由で誰でも簡単に攻撃できてしまうという背景もあり、最も対策すべきリスクです。
攻撃者に脆弱性を突かれる前に脆弱性診断の実施など対策をとることで、さまざまなセキュリティリスクを防ぐことができます。

2. 安全な自社サービスを提供するため

脆弱性診断でセキュリティ上の問題点をなくすことで、サービス利用者に安心してWebシステム・アプリケーションを利用してもらえます。顧客からの信頼獲得にもつながるでしょう。サービスを提供する側として、顧客が不利益を被るリスクを減らすことは非常に重要です。

実際、セキュリティ事故が発生すれば情報漏えいなどの多大な被害が出るため、セキュリティ対策が万全か気にする顧客は増えています。脆弱性診断によってリスクを早期発見することは、安全に自社サービスを利用し続けてもらう上でとても大切です。

ECサイトのセキュリティ対策の甘さが大きな問題に

ECサイトへのサイバー攻撃によって発生する「個人情報やクレジットカード情報の漏えい」が近年多発し深刻な問題になっているため、注意喚起がたびたび行われています。

事態の深刻度から、2023年6月30日には経済産業省と警察庁がサイバー攻撃によるクレジットカード番号等の漏えい事案に関する対策の推進に関する覚書を締結しました。

2023年 ECサイトの脆弱性・クレジットカード情報保護のための注意喚起

”ECサイトの公開前に脆弱性診断を行い、見つかった脆弱性を対策する” 区分:必須
引用:IPA|ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン「表2 EC サイトの構築時におけるセキュリティ対策要件一覧」2023年3月策定

“加盟店は、カード情報を保持しない非保持化(非保持と同等/相当を含む)、又はカード情報を保持する場合は PCI DSS に準拠する”
引用:一般社団法人日本クレジット協会|クレジットカード・セキュリティガイドライン【4.0版】2023年3月改定

自社が抱える情報資産を攻撃から守るためには、定期的に脆弱性診断を実施し、適切なセキュリティ対策を講じることが重要です。

「ECサイトのセキュリティ|重要な対策方法をわかりやすく解説」では、ECサイトを安全に構築・運用するためのポイントを紹介しています。ECサイトのセキュリティ対策について、更に詳しく知りたい方は、ぜひご一読ください。

また、「EC-CUBEの脆弱性|リスクを最小限にするための簡単な方法」では、EC構築システムのEC-CUBEで実際にあった攻撃事例や、OSS(オープンソースソフトウェア)でECサイトを運用する時に発生しやすい脆弱性、対策などを解説しています。OSSでECサイトを構築している方は、ご一読いただく事をおすすめします。

脆弱性診断実施の際に理解しておきたいアプリケーションセキュリティ
脆弱性診断をより効果的に実施するには、アプリケーションセキュリティを理解しておく必要があります。アプリケーションセキュリティとは、アプリケーションに潜む脆弱性を特定し、脅威を未然に防ぐ対策です。具体的なアプローチ方法は、「アプリケーションセキュリティとは|対策を技術・組織・人材に分けて解説」にて解説していますので、ぜひご一読ください。

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3. 効率的にセキュリティ対策を実施するため

診断によって脆弱性を把握して優先的に修正すべき部分が分かれば、効率的にセキュリティ対策できる上にコストも抑えられます。

全体像が把握できないまま重要度の低い部分から修正すると、別の箇所で重大な問題が見つかった際に工数の手戻りが発生してしまい、無駄な時間やコストを消費する可能性があります。

脆弱性診断で問題点の本質が理解できれば、改善すべき点を洗い出して効率的に修正作業を進められ、結果的にコストも安くなります。

脆弱性診断を最大限に活用するためのセキュリティマネジメント
脆弱性診断で問題を発見できても、その後の対応が適切でなければ効果は半減してしまいます。診断結果を組織全体のセキュリティ向上に活かすためには、体系的な情報セキュリティマネジメントの仕組みが不可欠です。脆弱性診断は、情報セキュリティマネジメントの仕組みの重要な要素の一つであり、診断結果を適切に評価・分析し、優先順位を付けて対策を実施することで、真の効果を発揮します。詳しくは「情報セキュリティマネジメントとは|必要性や実施のポイントを解説」にて解説していますので、併せてご覧ください。

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4. 開発手法の多様化に対応するため

セキュリティを意識した開発はもちろん重要ですが、開発が高速化し、リリース頻度が増えているなかで、開発者が本来の業務と並行してセキュリティ対策を行うことが今までになく難しくなっています。

脆弱性診断は開発とは別でセキュリティに特化した診断を実施するので、開発者に負担をかけない効率的かつ効果的なセキュリティ対策と言えます。

脆弱性診のやり方|手動診断、ツール診断

脆弱性診断のやり方には、手動診断とツール診断があります。それぞれ特徴やメリットが異なり、2つの手法を組み合わせることでセキュリティをより強化できます。診断の目的や予算に合わせて使い分けるとよいでしょう。

手動診断のメリット・デメリット

手動診断は、セキュリティの専門知識を持つ技術者がWebシステム・アプリケーション上の欠陥を検知するやり方です。細やかな検査が可能で精度も高く、複雑な構造の場合やWebシステム・アプリケーション内で権限昇格が可能かなど人の知見を必要としたり、細部まで診断する必要があるような、ツール診断では見逃してしまう脆弱性を見つけられます。

ただし、人の手で一つひとつチェックするため診断料が高く、依頼する検査対象が広いと、費用も時間もふくれ上がる面もあります。その結果、一部の画面しか診断できない、Webサイトの画面数を絞らざるを得ない場合も多く見られます。手動診断のみの場合、診断を受けていない画面に残る脆弱性が攻撃の引き金になる可能性があります。
また、結果が出るまでに時間がかかるため、急を要する場合に対応できないこともあるでしょう。

基本的なチェックはツール診断を活用し、気になる部分だけ手動診断を依頼するのがおすすめです。

ツール診断のメリット・デメリット

ツール診断は、脆弱性診断ツールを使ってWebシステム・アプリケーション上の欠陥を検知するやり方です。チェックしたいサーバー情報やWebページのURLなどを登録して診断を実行すると、自動で脆弱性を検知します。スピーディーに脆弱性を見つけるにはツール診断がおすすめです。

ツール診断のメリットは、脆弱性診断のために割く手間や時間を大幅にカットでき、均一な診断を簡単に実行できることです。また、開発の途中で定期的にツール診断を実行すれば問題点を把握した上で開発できるため、手戻り工数が減ってコストの削減にもつながります。

一方で、サービスとして提供を受けるか、自分たちで製品を使うのか熟考し、自社に合う診断タイプを選択する必要があります。SQLやXSSなど「主要項目に絞った診断」で良いのか、OWASPやIPAなど「標準的な診断項目を満たしている診断」を必要とするのかも考慮する必要があるでしょう。

自社独自の結論をしっかり出すことができれば、適切なセキュリティ対策になりますが、「選ぶこと」が難しいため、注意が必要です。

また、ツールでは対応できない診断対象があることも留意しておく必要があるでしょう。ツールは標準化された診断手法を用いているので、独自に作り込んだWebアプリケーションや、人の知見が必要とされる複雑な画面操作などは、手動診断でしか脆弱性を検知できないことがあります。

近年の脆弱性診断ツールは進化している

近年はJVNCVEなどで採番され、既知の脆弱性として報告された翌日には検出可能になっているような高機能のツールもあります。

今やツールは「とりあえず」というレベルではなく、きちんと選べば適切なセキュリティ対策になります。一方で「選ぶ難しさ」が課題になっています。

さまざまなツールの中から自社に合うものを選ぶには、まず脆弱性診断ツールについて理解を深めることが重要です。「脆弱性診断ツール(サービス)|無料・有料の違いと5つの選定ポイント」を参考に、ツールの選び方について知ることをおすすめします。

現在において「最も望ましいアプローチ」は、一般的な診断方法で見つかる脆弱性はツール診断で定期的に対処し、独自の作りに起因する脆弱性は手動診断で確認するという組み合わせでしょう。

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脆弱性診断の費用

脆弱性診断の費用は、数十万から数百万円とサービスによって幅広くなっています。診断範囲が広く精度が高いほど、費用が高くなるのが一般的です。

また、ツール診断と手動診断では、同じ予算でも検査できる範囲や深度が異なります。例えばツール診断の場合、100万円の予算である程度まとまった画面数や、2~3個の一連の機能を診断可能です。手動診断の場合は、100万円あると数画面を深くチェックできます。

脆弱性診断サービスの提供会社によってはプランを複数用意しているため、予算に合わせて診断内容を選択することも可能です。

クラウド型Webアプリケーション脆弱性診断ツール「AeyeScan」では、お客様の診断ニーズや対象となるWebサイトの規模に合わせて、複数のプランをご用意しています。無料トライアルでは、お手元のサイト1~2件で機能をお試しいただくことも可能です。「試しに機能を使ってみたい」「自社の予算内でどこまで診断できるか確認したい」という方は、ぜひ以下のページで料金プランをご覧の上、お問い合わせください。

▼AeyeScanの料金プランはこちら

脆弱性診断の種類

脆弱性診断は、アプリケーション診断とネットワーク診断の2種類があります。
ここでは、アプリケーション診断とネットワーク診断の特徴、診断できる項目を詳しく解説します。

脆弱性診断の種類を示した図 エーアイセキュリティラボ

ネットワーク診断

ネットワーク診断は、OS/ネットワーク機器/サーバーなどを対象とした脆弱性診断です。
「既知の脆弱性に対応できているか」「機器の設定状態に問題はないか」などを検査します。ネットワーク診断で検査する主な項目は、以下の通りです。

  • ポートスキャン
  • Web・メール・DNSサーバーの脆弱性診断
  • 権限・設定の適正チェック
  • アカウント検査

なお、ネットワーク診断にはインターネット経由で診断する「リモート診断」と、社内ネットワーク経由で診断する「オンサイト診断」の2つがあります。

リモート診断ではファイアウォールのアクセス権限の適正チェック、サーバーなどの脆弱性診断を実施します。オンサイト診断ではエンジニアがクライアント企業の内部ネットワークに接続し、脆弱性診断を実施します。

アプリケーション診断

アプリケーション診断とは、インターネットを介して使用するWebアプリケーションを対象とした脆弱性診断です。ログイン機能や入力フォームの処理など、Webアプリケーションの機能に対して幅広く診断を実施します。

診断を実施するタイミングはサービスのリリース前が多く、情報漏えいや不正アクセスにつながるような脆弱性はないかなどを検査します。

アプリケーション診断で検査する主な項目は、以下の通りです。

  • クロスサイトスクリプティング
  • SQLインジェクション
  • OSコマンドインジェクション
  • ディレクトリリスティング
  • パラメータの改ざん
  • パストラバーサル

代表的なWebアプリケーションの脆弱性

ここでは、発生頻度が比較的高い脆弱性について紹介します。脆弱性の種類とその被害を知ることは、自社のニーズに合う脆弱性診断を検討する上での判断材料になりますので、ご一読いただくことをおすすめします。

クロスサイトスクリプティング

クロスサイトスクリプティング(XSS)はWebアプリケーションに限らず、総合的な脆弱性の中でも最も件数の多い脆弱性です。

個人情報を奪うことを目的とした悪意のあるスクリプトが多く、なりすましの被害に遭ったり、偽のページを表示される可能性があるため危険視されています。

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SQLインジェクション

Webアプリケーションの脆弱性の中でも、SQLインジェクションは広く知られています。攻撃された場合、データベースの不正な操作を許してしまい、情報漏えいのリスクが想定されるため非常に危険です。

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Javaの脆弱性

近年の開発手法を導入する企業は増えていますが、依然としてJavaやJavaベースのフレームワークによる開発も行われています。Javaの脆弱性を突かれると、不正にデータを操作・閲覧されたり、システムの乗っ取りによって踏み台にされる可能性もあります。このような攻撃を受けると、さまざまな犯罪に悪用されるため注意が必要です。

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WAF(Webアプリケーションファイアフォール)
Webアプリケーションに潜む脆弱性を狙った攻撃を防ぐためのセキュリティ製品として、WAF(ワフ)があります。WAFは、Webアプリケーションに見つかった脆弱性が修正されるまでの予防壁として有効です。詳しくは「WAFとは|どこまで守れる?セキュリティ対策の効果をわかりやすく解説」にて解説していますので、脆弱性診断と併せてご検討ください。

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脆弱性診断を選ぶときにおさえたい4つのポイント

脆弱性診断を提供している会社は多いため、自社にはどこが合うのか判断が難しいと感じることもあるでしょう。

選定時に失敗しないためには、4つのポイントに注目することが大切です。

  1. 診断水準は高いか
  2. 診断結果を元に対策ができるか
  3. 診断結果を元に対策ができるか
  4. 診断の提供形態は柔軟か

1. 診断水準は高いか

脆弱性の診断結果はセキュリティ対策の質に影響を与えるため、診断水準の高さは重要なポイントになります。診断水準を測る基準として、ASVS(Application Security Verification Standard/アプリケーションセキュリティ検証標準)を参考にするのがおすすめです。

ASVSとはOWASPが策定したセキュリティガイドラインで、安全なWebアプリケーション開発をする上で重要となる要件を定めています。利用したい脆弱性診断サービスが、以下の内容に準拠しているかを確認するとよいでしょう。

レベル 対象のアプリケーション
Level 1(最低保障レベル) 重要なデータを取り扱わないアプリケーション
Level 2(推奨保障レベル) 機密データなど情報の保護が必要なアプリケーション
Level 3(最高保障レベル) インフラ・医療・金融など重要度の高い取引が含まれるアプリケーション

また、脆弱性診断サービスを選ぶ際には、自社が診断を受けたい項目が含まれてるかという点も重要です。サービスの利用料が安くても、検査できない項目が多いとセキュリティ対策としては意味がありません。費用だけで判断せず、診断項目の豊富さや水準の高さを加味してサービスを選びましょう。

2. 診断結果を元に対策ができるか

適切なセキュリティ対策を講じるには、診断結果が分かりやすく記載されているかどうかも重要です。診断結果の内容を理解できなければ、どのようなセキュリティ対策をするべきか判断しにくくなります。

検知した脆弱性の概要だけでなく、「対策方法まで記載されているか」「図や表を用いて見やすい工夫がされているか」などのポイントを確認しておきましょう。

3. 信頼できる提供会社か

脆弱性診断を検討する際に、信頼のおける提供会社であることは重要です。

おすすめは、認証を取得している企業です。企業ホームページに情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)が表示されているか、担当者がCISSP(Certified Information Systems Security Professional)を取得しているかなど確認してみるのもよいでしょう。

4. 診断の提供形態は柔軟か

脆弱性診断サービスを選ぶ際は、ツール診断と手動診断の両方を利用できるか確認するのがおすすめです。ツール診断しか提供していない会社もあるため、手動診断も利用できるか事前にサービス内容を確認しておきましょう。

手軽に検査できるツール診断と精度の高い手動診断を組み合わせれば、お互いの弱点を補いあってセキュリティをより強固にできます。

安全性を確保し続けるための「脆弱性管理」

脆弱性診断は「現状のリスクを知る」ためのステップです。しかし、脆弱性診断でリスクを発見しても、その結果を適切に管理・対応しなければ、実効性のあるセキュリティ対策とはいえません。

そこで重要なのが、「脆弱性管理」の体制構築です。脆弱性管理とは、発見された脆弱性を評価し、修正の優先順位を付け、対処・改善を継続的に行う一連のサイクルを指します。

複数のシステムやアプリケーションを運用していると、脆弱性の把握や対応状況が属人化しやすく、管理が不十分になるリスクがあります。こうした事態を防ぐためにも、組織として脆弱性を一元的に管理し、継続的に改善していく体制を整えましょう。

診断を単発で終わらせるのではなく、組織の日常的な運用フローの中に仕組みとして組み込むことが、安全性を確保するポイントです。

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脆弱性診断を開発プロセスに組み込むDevSecOpsの考え方

開発スピードが重視される現代では、従来の「開発完了後にセキュリティチェック」という手法では限界が見えています。リリース直前に重大な脆弱性が見つかると、開発計画に大幅な手戻りが生じるリスクがあるためです。

そこで重要になるのが、DevSecOpsという考え方です。開発(Dev)・運用(Ops)にセキュリティ(Sec)を組み込んだ開発手法で、開発の各工程でセキュリティを意識することで、高い安全性を維持しながら開発スピードを落とさず進めることが可能になります。

近年、生成AIを活用して開発を効率化できる一方で、意図しない脆弱性が含まれるリスクも増えています。効率化と安全性を両立するには、開発の各段階で継続的に脆弱性をチェックする仕組みが不可欠です。

DevSecOpsの実現方法については「DevSecOpsとは|組織全体で取り組む課題と実現方法」で解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

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【導入事例】開発の中にセキュリティを浸透させ、四半期ごとの定期診断を実現

項目内容
導入目的・グループ各社の開発現場にセキュリティを浸透させる
・製品の改修時や公開サイトに対し、必要なタイミングで診断できる体制をつくる
・将来的に開発者が自ら診断
・修正まで担えるDevSecOpsの状態を目指す
導入前の課題・連結会計ソフトウェアなど機密性の高い情報を扱う製品を提供しており、高いセキュリティ水準が求められる
・開発者が日常的にセキュリティを意識し、対応できる環境が整っていなかった
・既存ツールでは、診断結果を開発者が理解し、修正につなげることが難しかった
導入後の成果・製品に改修を加えたタイミングでセキュリティ部門が診断を実施し、結果を開発者へ共有する流れを確立
・外部公開しているWebサイトやサービスに対して、3ヶ月に1回の定期診断を開始
・導入後、クリティカルに分類される深刻な脆弱性は検出されず、安全に開発できていることを再確認
・グループ各社の開発者からも、レポートがわかりやすいと評価されている

連結会計ソフトウェア開発をはじめ、企業の経営DXを総合的に支援する某企業グループでは、従来のパッケージソフトウェアからクラウドを前提としたサブスクリプションモデルへビジネスをシフトする中で、責任分界点の変化に伴う社内セキュリティ体制の強化が急務となっていました。しかし、当時の開発現場ではセキュリティ対応が散発的になっており、開発者が日常的にリスクを意識して対応できる環境が整っていないことが大きな課題でした。

そこで、開発者にもわかりやすいレポートが提供され、OWASP Top 10などの業界標準に沿って客観的にリスクを示せるクラウド型Webアプリケーション脆弱性診断ツール「AeyeScan」を導入。ツールが提示する明確な指標が共通の土台となり、セキュリティエンジニアと開発者のより良いコラボレーションが実現しました。現在では、開発者のセキュリティへの理解や部門間の連携が進み、セキュアなアプリケーション開発の取り組みを加速させています。

開発とセキュリティ部門が連携し、継続的に品質を高めていく「DevSecOps」の第一歩として、AeyeScanは大きく貢献します。AeyeScanの導入事例をもっと知りたい方は、以下をご覧ください。

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導入事例

まとめ|自社サービスに最適な脆弱性診断を導入しセキュリティを強化しよう

脆弱性診断とは、脆弱性を突いた攻撃を受けたとき、被害につながる可能性がないか検証を行い、攻撃による被害を未然に防ぐためのものです。

脆弱性診断を実施すると、以下のようなメリットが得られます。

  • サイバー攻撃を未然に防ぐことができる
  • 安全な自社サービスを提供できる
  • 効率的にセキュリティ対策を実施できる
  • 開発手法の多様化に対応できる


特に近年、生成AIを活用した開発が普及していますが、生成AIが出力したコードには人間では気づきにくい脆弱性が潜む可能性があります。脆弱性診断により、こうしたAI活用特有のリスクも含めて包括的にセキュリティ検証を行うことで、より安全なサービス提供が実現可能です。

脆弱性診断を実施する方法には以下の2つがあります。

  • 手動診断
    • 精度が高く、細部までしっかり診断できる
  • ツール診断
    • 網羅的でスピーディーにWebの安全性を確認できる
    • 比較的早く導入でき、診断を開始できる
    • 手動診断より低コストである


一般的な診断方法で見つかるような脆弱性にはツール診断を、Webシステムの構成が複雑である、または独自の作りに起因した脆弱性がないか確認したい場合には手動診断を実施するというのが最も望ましい組み合わせになり、セキュリティをより強固なものに出来るでしょう。

脆弱性診断の重要性を理解し、効果的なセキュリティ対策を実施しましょう。AeyeScanは、従来のWebアプリケーションに加え、AI搭載アプリケーションの複雑な脆弱性にも対応可能。高精度な自動診断により、生成AI活用時代のセキュリティリスクを効率的に検出・対処できます。詳細が知りたい方は、ぜひAeyeScanの資料をダウンロードしてください。

著者:榊原敦子(シニアカスタマーマーケティングマネージャー)

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執筆者

執筆者

株式会社エーアイセキュリティラボ シニアマーケティングマネージャー
榊原 敦子

日本HPにてITインフラ基盤の設計・構築に従事した後、Sky株式会社にて13年間セキュリティ製品の専任インストラクター、プリセールス、運用コンサルを歴任。延べ1,000社を超えるセキュリティ運用改善を支援してきた。
現在は、Webアプリケーションセキュリティ領域のエバンジェリストとして、AIを活用した「診断の仕組み化」や「運用の属人化解消」をテーマに、B2Bマーケティング戦略立案から、メディア記事・ホワイトペーパーの監修までを幅広く担う。ITインフラからアプリケーション層までを横断的に理解する知見を活かし、実務に即した高度なセキュリティ情報の普及に努めている。

FAQ

  • 脆弱性診断はなぜ必要ですか?

    脆弱性診断が必要な理由は、サイバー攻撃の未然防止、安全なサービス提供による顧客信頼の獲得、効率的なセキュリティ対策の実現、開発手法の多様化への対応の4つです。脆弱性を放置すると攻撃リスクが高まるため、定期的な診断による早期発見・早期対処が不可欠です。

    • サイバー攻撃を未然に防ぐため
      脆弱性診断で問題を早期に発見すれば、攻撃者に悪用される前に対策を講じることができます。
    • 安全な自社サービスを提供するため
      セキュリティ上の問題点を排除することで、顧客が安心してサービスを利用できる環境を整備できます。
    • 効率的にセキュリティ対策を実施するため
      診断結果をもとに優先度の高い脆弱性から修正することで、工数の手戻りを防ぎ、対策コストを抑えられます。
    • 開発手法の多様化に対応するため
      開発者がセキュリティ対策を並行して行う負担が増していますが、脆弱性診断は開発とは独立した検証であり、開発者の負担を増やさずにセキュリティ対策を実現できます。

    脆弱性診断は一度実施すれば終わりではなく、システム改修や新機能追加のたびに繰り返し実施することで効果を維持できます。

    詳しい脆弱性診断の必要性については「脆弱性診断が必要な4つの理由」をご覧ください。

  • 脆弱性診断のやり方を教えてください。

    脆弱性診断には、「手動診断」と「ツール診断」の2種類の方法があり、診断の精度・コスト・スピードが大きく異なります。ツール診断では脆弱性診断ツールを使いWebシステムの脆弱性を網羅的に検知し、手動診断ではセキュリティの専門家がシステムの脆弱性を詳細に診断します。

    • 手動診断:作りが複雑なシステムのや、細部まで診断したい企業におすすめ
    • ツール診断:脆弱性診断のために割く手間や時間、コストをカットしたい企業におすすめ

    基本的なチェックはツール診断で広範囲をカバーし、複雑な検証が必要な箇所に手動診断を組み合わせるのが効果的です。

    各診断方法の詳細は「脆弱性診のやり方|手動診断、ツール診断」をご覧ください。

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